五條悟と時渡るJK〜過去いま運命論〜(dream)
□06-デジモンとJK
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アミが5個あるナゲットのうちの2個食べてる間に、プチごじょーさとるは自分の分を食べ終わった。――え、ハヤすぎじゃない? マジ、ヤバッ!!
完食した後、ごじょーさとるはアミに質問攻撃をしはじめた。
「オマエ、ジュジュツシ? どこ所属だよ」
「何のジュツシキなの?」
「何でジュブツなんて持ってんだよ?」
だけど、言ってる内容の意味が分からなすぎるんだよね。
それでもアミは、一生懸命、精いっぱい、仕方がなーく、てきとーッ…に返事していく。
「うーん、どこだろうねー」
「あー、なんだろうねー」
「えーと、なんでだろー。覚えてないやー、えへへ」
ごじょーさとるの話に相づちをうったり、質問に答える。――いや、アミってば誠実すぎない?? 良い女すぎでしょ!!
「おい」
しばらく適当に話を続けて、アミが4個目のナゲットを食べ終えた時。
じと目でごじょーさとるが睨んできた。
「ちゃんと真面目に答えろよ」
「えー、アミ、真面目に答えてるよー」
「はぐらかしてばっかりじゃねえか」
「うーん、アミ馬鹿だから難しい話わかんないんだー。ごめんね!」
「……」
「あっ、ごじょーさとるデザートとか買ってきたら?? シェイクとかパイとかあったよ!」
めちゃくちゃイラついてる顔をされたので、アミもさすがに可哀想かな?と思って気をつかった。
「ついでにジュースもお代わりしてきなよ! はいっ!」
笑顔でお財布を差し出すと、ごじょーさとるはお財布とアミを順番に見た。
「……逃げるつもりじゃねーよな?」
「逃げるってなんで? アミ何も悪い事してないよ?」
でしょ? ってニッコリしてみせる。
ごじょーさとるは口をへの字にしてしばらく考えた後、アミから財布を受け取った。
「……逃げんなよ」
そう言って、立ち上がりレジへと向かうごじょーさとる。
「あ、アミ、お水欲しい! 氷なしね!」
小っちゃい背中に声をかければ、嫌そうな顔でこっちを見た。
しばらく睨んできた後、ごじょーさとるはアミに中指たてて、ベーッてしてきた。
中指立てたらいーけないんだー。と思いつつ、アミは大人の余裕で笑顔のまま手を振り返す。
アミが落ち着いてるのが意外だったのか、ごじょーさとるは、ちょっとビックリしたあと頭をかいた。
「……んだよ」
そう言って、ごじょーさとるは小さくハァッってすると、そのままレジに歩いて行った。
ちびっ子を見送りながら、アミは最後のナゲットをかじる。
――うーん、ごじょーさとるの所の“設定”、何か分かったかも……
さっきの会話の内容を思い出しながら、アミはちょっと考え込む。
多分、ごじょーさとるのいる所の設定は「呪い」だと思う。いわゆる「オカルト」ってやつ。
言葉の意味が分からなすぎて意味不明だったけど、大体わかる意味の中からアミはこれかな?っていう設定の予想がついた。
なんとなーく、アミたちのいる施設と似てる所があるから、ごじょーさとるのいる所の“設定”はそうなんだと思う。
アミ達の設定は“ヒーロー”“ファンタジー”だけど、ごじょーさとるは“呪い”“オカルト”。――どっちがマトモなのかは、分からないけどね。
ごじょーさとるにはごめんだけど、別の施設の子だから、アミ達の施設についてはあんまり教えてあげられない。
――ごじょーさとるがアミに絡む理由ってなんだろう? バケモノのエサに興味あるみたいだったけど……、施設の大人たちもバケモノのエサは、貴重なモノっていってから、ごじょーさとるは貴重品回収係とか?
アミがそんな風に考え事をしている間に、ごじょーさとるが戻ってきた。
「おらよ」
ダンッと、ごじょーさとるが乱暴に水を置く。ビチョビチョなんだけど、って思ってる間に今度は財布を放り投げてきた。
ちょっと慌てたけど、きちんとナイスキャッチできた。
えっ! ちょ! アミ天才!!――なんて、心の中で自画自賛してたら、ごじょーさとるは自分の席に座って、トレーを机に置いてた。
甘いもの系をひととおり買ってきたみたいで、その量にアミは自分が食べる訳でもないのに胃もたれ感に襲われちゃう。
パイに手にとりながら、ごじょーさとるはアミを見てきた。
「それで、さっきの続きだけど……」
アミはこれ以上、つまらない話はしたくなくて、反射的に言葉をさえぎっちゃった。
「ねえ、ごじょーさとるの学校って何がはやってんの?」
「ハッ?」
動きを止めるごじょーさとる。
「いきなりなんだよ」
「いいから! いいから! ね?」
アミは笑顔で両手を合わせてお願いポーズをする。
ごじょーさとるは渋い顔をしつつも、少し考え込み始めた。
「……デジモン?」
「あ、アミそれ知ってる! パタモンが出るやつでしょ!」
デジモンは伊地知パパが健全な少年少女の必修科目だから!っていって、無理やり一緒に見させられたんだ。
知らなかったけど、アミ達の“選ばれし子供たち”の設定も、そこから持って来たんだなって、その時思ったから、なんだかんだアミとデジモンは縁があるんだよね!
そんな感じでデジモンの話を続けてると、ごじょーさとるは子供らしく食いつきはじめた。
ごじょーさとるの好きなデジモンの話を聞いたり、ごじょーさとるがカードを集めてる話とか、ゲームの話とか、アミがアニメのネタバレしたりとか……そんな感じで、楽しく話を続けた。
今までアミを品定めするように見ていたごじょーさとるが、コロコロ表情を変え始めて、そこでアミは初めて見た目どおりごじょーさとるを、可愛いじゃん!って思った。
――やっぱり、子供と話すの楽だなー……
アミは友達や知り合いは多かったけど、みんな“一般人”だった。
アミがアミで接すると、そのうちハブられるようになるから、素は出さないし、適当な距離感でしか一緒にいられなかった。
子供ならそこらへん考えなくていいから楽なんだよね。
アミが子供に本当の事を言っても、一般人の親はそれ聞いて遊びや冗談とかだけ思って済ましてくれるから。
あとは施設の子くらいかな。アミが何も考えずに話せるのって。
あ、伊地知パパも話しやすかったけど! だけど一般人だからやっぱり気はつかっちゃうよねー......。
だから、ごじょーさとるがアミと似た環境で生きてるって分かって、アミは大分気が楽になったんだよね。
今は楽しく話せてるから、なんだかんだ良かったなー、って思ってる。
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